スノーボード映像の裏側|ストリート編
スノーボードの映像制作には、さまざまなロケーションがあります。
大きく分けると、パーク・ストリート・バックカントリーの3つです。
- パークはスキー場内のジャンプ台やレールが設置されたエリア。
- ストリートは街中の階段や手すり、壁などを使った撮影。
- バックカントリーは自然の雪山を舞台にしたダイナミックなシーンです。
今回は、その中でも特にリスクが高く、
でも映像としての迫力が大きいストリート撮影にフォーカスしてお話します。
今ではコンプライアンスの観点から制限も多いですが、
昔の話として読んでいただければと思います。
ストリート撮影の始まり

ストリート撮影のルーツは、スキー場にパーク設備が
整っていなかった時代にさかのぼります。
「山で磨いた技術を、街中でも自由に滑りたい」
という思いから、街にある階段や手すりを使うようになったようです。
このスタイルには、スケートボード文化の影響が強く見られます。
スケートボードはもともと街で行うスポーツなので、
手すりや階段を使ったトリックが中心。
スノーボードもこれに倣い、パークでやる技を
町中に持ち込む形でストリートが発展しました。
しかし街中の階段や手すりはスキー場の設備とは違います。
急な階段、素材の違うレール、踏み面やランディングの不安定さなど、
失敗すればコンクリートに体や頭を打ち付けるリスクもあります。
だからこそ、ストリート撮影は常に危険との隣り合わせなのです。
撮影のポイント

ストリート撮影で大切なのは、
ライダーとカメラマンのイメージ共有です。
ライダーがどんな技をしたいのか、
どの瞬間を映像として残したいのか などを
ライダーとカメラマンがイメージを共有できれば
良い撮影に繋がると思います。
その他のポイントは次の通りです。
- 雪の状態を考慮する
新雪の上を歩くと足跡がつき、映像の美しさが損なわれます。
できるだけ歩かず、大回りで撮影することが大切です。 - 階段や手すりの安全対策
踏み面だけに雪を敷いて滑りやすくし、
蹴上部分の雪は取り除くと見栄えも良くなります。 - アングルの工夫
ライダーが一番かっこよく見える角度、
技の迫力が伝わる距離感、アイテムが大きく見える位置など、
アングル一つで映像は大きく変わります。
私自身も撮影を始めた頃、先輩カメラマンから
「スケートボードの映像を見ろ」とよく言われました。
どこに立って撮るか、どのタイミングで切るかなど、
スケート映像から学んだことをスノーボードに応用していました。 - 編集を意識した撮影
階段を上るシーンやレールからレールへ移動するトリックなど、
後で編集するとドラマチックに見えるシーンをあらかじめ撮っておくと、
映像の完成度が格段に上がります。
最近のストリート撮影

近年のストリート撮影は、単にレールや階段でトリックを決めるだけではなく、
壁や建物、手すりや柵などあらゆる建築物を使ったクリエイティブな映像が増えてきました。
ライダーの発想力次第で、まったく新しいトリックや映像表現が生まれるため、
見ていてとてもワクワクします。
特に海外の映像を見ると、驚くようなスケールの大きさに圧倒されます。
「こんなところから飛ぶの?」「あの建物から降りるの?」
と思わず声が出るシーンも少なくありません。
階段や手すりを使ったトリックの高さや距離はもちろん、
カメラアングルや街の景観を活かした演出によって、
迫力やスリルがさらに増しています。
また、ライダーだけでなくカメラマンの演出力も重要です。
同じトリックでも、アングルや距離、背景の選び方次第で
映像の印象は大きく変わります。
最近のストリート撮影は、ライダーとカメラマンが一体となって
都市空間をアートのように活かす挑戦が続いていると言えるでしょう。
こうした映像は単にトリックを見せるだけでなく、
街の景観や建物の構造を最大限に活かした映像表現としても楽しめるのが特徴です。
そのスケール感や創造性の高さが、ストリート映像を見る楽しみのひとつになっています。
まとめ
ストリート撮影は危険が伴う分、
映像としての迫力やリアリティが非常に高いジャンルです。
ライダーとカメラマンの連携、雪やアングルの工夫、安全対策、
そして撮影シーンの計算が、作品の完成度に直結します。
ただ、現代ではコンプライアンスや安全面の観点から制限されることも多く、
昔のように自由に街中で滑ることは難しくなっています。
それでも、昔のスケートボード映像の考え方を参考にしつつ、
現代ならではのクリエイティブな撮影手法を駆使すれば、
唯一無二の映像を作り出すことが可能です。
だからこそ、ストリート撮影には独特の魅力があり、
多くのライダーやカメラマンが制限の中でも挑戦し続けているのです。
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