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スノーボードムービーの歴史【海外編】 ふわっと振り返る

スノーボードのカルチャーを語るうえで欠かせないのが「映像作品」。
今みたいにSNSやYouTubeがなかった時代、
ライダーたちがどうやって情報を得ていたか知ってますか?
実は…その答えは“VHSビデオ”と“雑誌”なんです。

ここでは、90年代から今まで、スノーボードムービーの変化をざっくり時代ごとに振り返っていきます

90年代:雑誌とVHSがすべてだった

スマートフォンはもちろん、インターネットすら身近ではなかった90年代
スノーボードシーンの情報源といえば「雑誌」と「VHSビデオ」でした。
当時の雑誌はトリック解説やギアレビューだけでなく、
世界各地のライダーやストリートシーンを伝える“メディアの中心”として
大きな影響力を持っていました。

この時代を象徴するのが Fall Line FilmsMack Dawg Productions(MDP)Standard Films などの
映像プロダクション。
特にMDPの『Totally Board』シリーズは伝説的な存在で、
世界中のライダーたちが擦り切れるほど見返した作品です。

個人的には、インゲマー・バックマン が好きでしたね。
当時の映像は、今のような超高画質ではありませんが、
ハンディカムで撮られた“生の空気感”とストリート色の強いスタイルが特徴。
VHSは「カルチャーのバイブル」だったのです。

2000年代前半:DVDでムービーが一気に進化

2000年代に入り、メディアの主役はVHSからDVDへと移行。
映像の画質が格段に向上し、チャプター分けや特典映像といった
DVDならではの演出が可能になったことで、
スノーボードムービーの世界は一気に華やかさを増しました。

当時のシーンを象徴するのは、Mack Dawg ProductionsAbsinthe Filmsの数々の作品、
そして Robot Food など。私も、好きでよく見ていました。
個性的な映像と音楽センス、そして当時のライダーたちのライフスタイルまでがパッケージ化され、DVDは“作品”としての価値を持つようになります。

さらに、ムービーのリリースは冬の始まりを告げる“イベント”でもあり、
ショップには新作DVDを買い求めるライダーが殺到しました。
雑誌とDVDは並走しながら、スノーボードカルチャーを大きく押し上げていった時代です。

2010年代:YouTubeとSNSで誰でも発信できる時代に

2010年代に入ると、流れがガラッと変わります。
DVDを買わなくても、スマホで簡単にライディング映像が見られるように。
YouTube やSNSで世界中の映像が流れ、数分のショートムービーが主流になりました。

ライダー本人が撮って編集して発信できる時代になり、
ブランドの枠を超えてローカルから世界へと発信することが可能に。
シーズン中は毎日のように新しい映像がアップされ、
「映像のスピード感」が一気に変わりました。

そしてこの時代を語るうえで外せないのが、
Red Bull が制作した伝説的な映像作品、The Art of Flight。
トラビス・ライスを中心に、
世界各地で撮影された圧倒的なライディングと映像クオリティは、
まさに“映画”そのものでした。
撮影にもヘリコプターが投入され、さらにはセスナ機や複数台のカメラで空撮。
雪山のスケール感とライダーの動きを余すことなく収めたその映像は、
スノーボードムービーの常識を覆しました。

この作品は、私にとっても特別なお気に入りです。
何度見ても鳥肌が立つ、スノーボード映像の金字塔です。

現在:SNSとショートムービーの時代

2020年代の現在、スノーボード映像は完全にデジタル化。
ライダーたちはフルムービーだけでなく、
SNSを使って日々の滑りを発信しています。
InstagramのリールやTikTokのショートクリップは、
かつてのVHSとは全く違うスピード感で世界中に拡散され、
カルチャーの形を変えました。

とはいえ、映像作品の存在価値が失われたわけではありません。
The North Face や Burton Snowboards、Vans などのブランドは
今でも高品質なフルムービーを制作し、オンラインで公開しています。
SNSと本格ムービーが共存する今は、ある意味で最も多様性のある時代かもしれません。

さらに、90〜2000年代の名作VHS・DVDが再評価され、
リマスター版やアーカイブ映像も注目を集めています。
カルチャーは変わっても、「映像がスノーボードの中心である」という
構造は今も変わっていないのです。

まとめ

VHS、DVD、ネット配信、SNS
時代ごとにメディアの形は大きく変わってきました。
それでも、映像がスノーボードカルチャーの核で
あり続けていることは共通しています。

テクノロジーの進化によって映像制作や発信のハードルが下がった今、
誰もが「カルチャーの発信者」になれる時代です。
その一方で、90年代のVHSや2000年代のDVDが持っていた“特別な熱量”は、
今も多くの人の記憶に残り続けています。

スノーボードムービーの歴史は、ライダーとカルチャーの歩みそのもの。
この流れを知ることで、今のシーンの見え方もきっと変わってくるはずです。ー

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