日本のスノーボードの歩みを ふわっと振り返る

スノーボードが日本に浸透し始めた1990年代後半
インターネットもまだ普及していなかったこの時代、
最新の情報やスタイルの発信源といえば「スノーボードムービー」でした。
ここから、日本のスノーボードシーンは大きく動き出します。
目次
1996〜2000年|VHSと共にカルチャーが生まれた時代

1996年頃から、海外のスノーボードカルチャーの影響を受けて、
日本でも映像作品やイベントが登場しはじめました。
当時の最新情報源といえば、VHSテープと雑誌。
ライダーたちは映像を見てトリックやスタイルを研究し、
仲間と真似しながら腕を磨いていました。
日本各地のプロダクションも次々と登場し、
毎年1本の作品をリリースするスタイルが定着。
- First Children
- RED EYES FILM
といったチームがカルチャーを牽引しました。
この時期は「スノーボード=ストリートカルチャー」という雰囲気が強く、
仲間と集まり映像を観ること自体が冬の楽しみのひとつでもありました。
多くの若者がスノーボードをはじめました。
2000〜2010年|ブームとバブル、DVD時代の到来

2000年代に入ると、日本では一気にスノーボードブームが到来します。
テレビ番組やCMでもスノーボードの映像が流れ、ウィンタースポーツの主役的存在に。
東京ドームでは X-TRAIL JAM が開催され、トップライダーの滑りを間近で観ることができる
一大イベントとして注目を集めました。
さらに、北海道では トヨタビッグエア も開催され、世界トップクラスのライダーが集結。
この2つの大会は当時の日本のスノーボードシーンを象徴するビッグイベントでした。
映像メディアもVHSからDVDへと移行し、高画質なムービーが続々とリリース。
ジャンプやジブといった パーク系のライディング が流行し、ゲレンデにはアイテムやキッカーが当たり前のように並ぶようになります。
この頃、スノーボードは「特別な遊び」から「大衆的なカルチャー」へと一気に広がりました。
First Children・RED EYES FILMはもちろん、スクローバー、HYWOD、ハートフィルム、ストンプ、インダレスフォーメーション、カー団地、ピーカン、ホットドックフィルムなど、
たくさんのスノーボードプロダクションも誕生しました。
さらに、女性だけのガールズスノーボードムービーも登場し、
LILやCANDY、TOMBOYといった作品も人気を集めました。
このころになると、さらに多くのプロダクションができ、各チームの個性的な映像や音楽センス、ライダーたちのライフスタイルが映像としてパッケージ化され、スノーボードカルチャーをより豊かにしていきました。
2010年〜現在|SNSとグラトリブームの時代

2010年代に入ると、シーンはさらに大きく変化します。
YouTubeやSNSを活用して、ライダー自身が情報や映像を発信する時代に。
プロダクションだけでなく、個人ライダーやショップ、メーカーも発信者になり、
スノーボードカルチャーは一気に多様化しました。
特にこの時期に人気を集めたのが「グラトリ」(グラウンドトリック)。
ジャンプ台を必要とせず、どこのゲレンデでも技が決められる手軽さと、
見栄えの良さが受け、一大ブームとなります。
一方、パークで腕を磨いたライダーたちは パウダー・バックカントリー にも流れ、
自然の雪を求める動きも強まりました。
安全面では遭難事故も増え、リスクと向き合う意識も高まります。
さらに、 QUEST や KINGS などのオフトレ施設が登場し、
雪がない時期でも安全に技を練習できる環境が整備。
「オフトレ文化」が定着し、1年中スノーボードに打ち込むライダーも増えていきました。
カルチャーからスポーツへ

かつて映像を観て憧れた世代が、いまや親となり、
子どもたちにスノーボードを教える時代になりました。
スノーボードは「カルチャー」から「スポーツ」としての側面も強まり、
オリンピックを目指すキッズも増えています。
全国のパークには、“スーパーキッズ”と呼ばれる若い才能が集まり、
これからのシーンを盛り上げています。
それでも、どの時代にも共通しているのは、
「スタイルを楽しむ」というスノーボードの根本。
楽しみ方や情報の受け取り方は変わっても、
滑ることのワクワクはいつの時代も変わりません。
まとめ
日本のスノーボードの歩みを振り返ると、VHS・DVD・SNSとメディアが変わるたびに、
楽しみ方も進化してきました。
ストリートカルチャーとして始まり、ブームを経て、
いまは多様なスタイルが共存する成熟したシーンへ。
これからも新しい波が生まれ、シーンは進化し続けるでしょう。
あなたの今の滑りも、きっと未来のスノーボードの「一部」になっていくはずです
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