スノーボード撮影の裏側|パーク撮影編

私がスノーボードのDVD撮影のカメラマンをしていたのは、もう10年以上前。
今のように GoPro や高性能スマホが当たり前になる前の時代です。
当時は、カメラがメイン。バッテリーや三脚、レンズまで含めると、
とにかく機材が重い。
雪山を移動するだけで体力勝負でした。
それでも、ライダーと一緒にパークを滑りながら追い撮りや
キッカーから離れた位置から三脚で撮影するのが基本のスタイル。
最高の一瞬を収めるために、ライダーたちは何度もリフトを回し、
何度も転び、何度も挑戦しました。
あの頃は、撮った映像はDVDとして世に出すのが主流でしたが、
今ではInstagramやTikTokなど、SNSで誰でも手軽に作品を発信できる時代。
アクションカメラやスマホ、自撮り棒などが当たり前になり、
便利になった分、映像表現の幅は圧倒的に広がりました。
そんな時代が変わった今だからこそ、
当時自分が大事にしていた「撮影の考え方」や「魅せ方の工夫」は、
これから映像を撮りたい人にもきっと役立つはず。
今回は、当時の現場で心掛けていたポイントをまとめました。
少しでもヒントになれば嬉しいです。
撮影の種類
スノーボード映像の撮影は、さまざまなロケーションで行われます。
大きく分けると、以下の3つのシーンがあります。
- パーク:スキー場内のジャンプ台(キッカー)やレールなどのアイテムを使ったエリア
- ストリート:街中の階段や手すりを利用した撮影
- バックカントリー:自然の雪山で行う撮影
今回は、その中でも パークでの撮影にフォーカスしてご紹介します。
常設パークでの撮影ポイント


常設パークの場合は、すでにSNSにたくさん映像がアップされています。
だからこそ、他と同じ見え方では埋もれてしまう。
「どう魅せるか?」という工夫が勝負になります。
今ではアクションカメラやスマホ、自撮り棒が当たり前になり、
誰でも気軽に撮影できる時代。
だからこそ、撮り方やアングルの差がそのまま個性になります。
ジブ撮影
自分が撮影を始めた頃、ライダーや先輩カメラマンから
スケートボードの映像を見ろとよく言われました。
どんなアングルがカッコいいのか?
どこに立って撮るのか?
その考え方をスノーボードにも応用していました。
- ライダーが一番映える角度
- アイテムが大きく見える位置
- 技の良さが伝わる距離感
同じジブでもアングル次第で映像はまったく変わるので、
とにかく試行錯誤あるのみです。
キッカー撮影の工夫
今は自撮り棒にアクションカメラを付けて、
追い撮りしたりテーブル付近から撮るスタイルが主流ですよね。
映像も簡単に迫力が出せる良い時代になりました。
自分が撮影していた頃はというと──
追い撮りはもちろん、キッカーからあえて離れた位置で撮影し、
ジャンプの高さ・飛距離・キッカーの大きさをしっかり見せたり、
テーブル上からアプローチの速さやラインを見せたり、
リップで抜ける瞬間のスタイルを切り取ったりと、
ライダーの技や個性に合わせて、アングルを常に変えていました。
「何を見せたいジャンプなのか?」
それに合わせて撮影位置やレンズを選ぶのが、キッカー撮影の面白さです。
「光」の演出
スノーボード撮影において、光はただ明るくするためのものではありません。
光の当たり方ひとつで、ライダーの見え方や映像の印象は劇的に変わります。
・ライダーが太陽を背負っているか
・横から光が差し込んで立体感が出ているか
・あえて逆光にしてシルエットで魅せるか
・夕日など色味のある光で雰囲気を作るか
どのような光を、どこから、どのタイミングで当てるか。
この考え方があるだけで、映像は一段も二段もレベルアップします。
例えば、ジャンプシーン。
太陽とライダーを重ねることで、空中での存在感が一気に増し、
高さやスピードが視覚的に伝わりやすくなります。
逆に、ジブでは逆光を使ってシルエットにすることで、
ライン取りや体の動きが強調され、
技のキレをスタイリッシュに見せることができます。
光は写すだけでなく、魅せたいものを浮き上がらせる演出装置。
自然の光をどう使うかを意識することで、
同じ場所・同じ技でも、人を惹きつける映像に変わります。
また、太陽が雲に隠れた際は、ライダーに待機してもらったりもします。
それほど重要なんです。
まずは「太陽がどこにあり、どう当たっているか?」をチェック。
それだけで、撮影の完成度は大きく変わります。
イメージカット
ライダーのジャンプやジブは、映像作品の”主役”。
でも、作品を印象的に仕上げるためには、
主役以外の「イメージカット」がとても重要です。
例えば──
- ゴーグルを装着する手元
- ビンディングを締める瞬間
- 板についた雪を払う仕草
- キッカーに向かって滑り出す後ろ姿
- リフトでの移動や仲間と会話するシーン
- ゲレンデの風景や雪の舞い方 などなど
こうしたカットを入れることで、
”滑りの前後にあるドラマ”が映像に生まれます。
さらに、ゲレンデの外での様子──
旅の道中、食事、準備、笑い合うシーンなども
撮っておくと編集で大きな力を発揮します。
ただ技を並べるだけの映像と、
ストーリーのある映像では、
観る人の感情の入る深さが全く違うんです。
ライダーが挑むワンカットの裏側にある、
「その瞬間を迎えるまでの積み重ね」
そこまで描いてこそ、作品は何倍も輝きます。
まとめ
時代は変わり、撮影機材はどんどん小型&高性能になりました。
誰でも手軽にカッコいい映像を撮れる…
そんな魅力的な時代になったからこそ、
「どう撮るか?」という意思やこだわりが
より重要になっていると感じます。
・どこで撮るか
・どんなアングルにするか
・どんな光で魅せるか
・どんなストーリーを入れるか
それら一つひとつの選択が、作品を唯一無二のものにしてくれます。
滑りの魅力も、ライダーの想いも、
撮り手の表現力次第で何倍にも伝わる。
ぜひ、自分だけの “カッコいい一瞬” を探して、
たくさんの映像を撮ってみてください。
雪が降り、ゲレンデが始まったら、
カメラとボードを持って、最高の瞬間を切り取りにいきましょう。📹🏂✨
あなたの作品が、誰かの心を動かしますように。
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